合同会社と株式会社との比較
■設立費用が安い-メリットその1
合同会社は株式会社と異なり、定款を公証役場において、公証人に認証を受ける必要がありません。通常の定款であれば、約52,000円程度の費用が公証役場においてかかりますが、それが不要ということで、かなり設立費用が安く済むというメリットがあります。
株式会社の場合・・・ |
登録免許税(最低)15万円 |
合同会社の場合・・・ |
登録免許税(最低)6万円 |
以上のように、法定費用は格段に合同会社の方がお安くできます。
資本金の額にもよりますが、最大で約14万2千円の差があります。
■短時間(期間)で作れる-メリットその2
合同会社を設立する場合、株式会社と違い、公証役場において定款の認証が不要なので、それに要する時間はおのずと節約されます。
<合同会社の設立スケジュール>
- 同一商号の調査
- 会社の基本事項の決定
- 定款の作成
- 出資金の払い込み
- 登記申請
以上のように、とても簡略化された手続きなので、普通に設立準備を行っても、2~3日で登記申請まで完了することが可能です。また、極端な例では1日で設立をしたという例もあります。
このように、合同会社は株式会社に比べ、非常に手軽に設立できるともいえます。
■役員の任期の定めがない-メリットその3
株式会社の場合は取締役や監査役の任期が下記のように決まっています。
原則:取締役=2年 監査役=4年
株式の譲渡制限がある株式会社では上記の任期を最大10年まで伸ばせることになっております。
しかし、任期ごとに変更手続きをしなければならず、登録免許税もその都度1万円かかります。
一方、合同会社では会社法において、役員の任期の定めがないので、定款で別段の定め
(この会社の業務執行役員の任期は5年とする、など)がない限り、任期は存在しません。
従って、役員の変更がない限り、定期的に変更登記する必要がありません。
登録免許税は1万円ですが、その書類の作成等を専門家に依頼すると、数万円の費用がかかりますので、その点を比べると、株式会社より合同会社の方が、運営上も費用は安くすむということがわかります。
長く会社を維持運営する上で、上記の役員の任期満了に係る役員の変更の費用が不要ということは、経費節減の上で大きなメリットとなっております。
■決算公告の義務がない-メリットその4
株式会社の場合は決算ごとに官報や新聞などに、決算公告(貸借対照表)を掲載することが義務付けられております。
決算公告の手段にも依りますが、多くの場合官報を利用すると、最低でも約5万円~の出費がかかります。
しかし、合同会社の場合は、その義務がないので、年間最低でも約5万円以上の負担が軽減されます。
ただし、合同会社も決算の広告の義務がないというだけで、決算及び債権者からの閲覧に応じなければならないという義務づけはなされております。
もちろん、義務がないだけで、決算公告を実際に行っている会社は多数あります。
■社員は全員が有限責任である-メリットその5
合同会社は持分会社の中でも全員が有限責任です。
・無限責任=社員は、会社の債務に100%の責任を負うことになります。
・有限責任=社員は出資した額だけの責任を負うことになります。
上記でいう、「出資した額だけ責任を負う」ということは、会社が破産した際には、出資金は戻らないということです。
そのことからも、合同会社は極めてリスクの少ない会社形態と言えるのではないでしょうか?
ただし、代表者が債務の連帯保証人となった場合は、その限りではありませんが、日常業務の中では代表者が連帯保証となることはあまりなので、金融機関等からの借り入れをしない限り、出資金の額までの責任となります。
■出資金の額によらない利益・配当の分配-メリットその6
株式会社の場合ですと、「出資者への配当は1株あたりいくら」といった決め方が会社法で決まっているので、出資額に応じた利益配当となります。
しかし、合同会社の場合では原則として「出資額に応じない利益の配当」となっており、原則「平等に行う」となっております。
例えば、Aさんが1万円、Bさんが99万円 出資をして資本金100万円の合同会社を設立し、1年後の決算で配当すべき利益が生じたとします。
株式会社の場合ですと、Aさんにはその利益の1%をBさんには99%の利益の配分がなされるべきですが、合同会社の場合はそうではありません。
定款で定めなければ平等に利益の分配が行われることとなります。
しかし、あらかじめ、定款で決めておけば、例えば以下のように
・利益や損失の分配は社員の出資額によるものとする
と定めることができます。
これは株式会社の利益配当とほぼ同じ方法となります。
このように、定款で定められる会社の裁量権の範囲(定款自治)が株式会社に比べ大きいのが合同会社の特徴であります。
■議決権は原則ひとり1票-メリットその7
利益や損失の配分と同様、合同会社の場合は出資金の額に依らず、ひとり1票となります。
業務の執行に関しては原則全員の一致が必要ですが定款で
・業務の執行は過半数の一致を持って決定する。
・業務の執行は2/3以上の一致を持って決定する。
などと特別の定めができます。これも先程の利益・配当の分配と同様、定款自治が生かされる部分です。
株式会社の場合は、出資額=株の数に応じて株主総会において議決権がありますが、合同会社の場合はひとり1票となります。
このことは、「出資金は少ないが技能やアイディアをいかして事業を行いたい」といった方
や、様々なノウハウを持ちあって事業を興す、または、法人同士が共同事業を行うといった場合には、多大なメリットとなります。